【高校野球・大分】津久見32年ぶりV 「野球のまち」に歓喜届けた
- 2020/8/1
- 【野球】九州・山口

高校野球 大分代替大会 決勝
伝統校「TSUKUMI」チーム一丸

◇決勝 津久見2-1大分舞鶴(7月31日・別大興産スタジアム)
8回柳生スクイズ
オールドファンには懐かしい「TSUKUMI」のユニホームが、32年ぶりの歓喜に包まれた。特産品のみかんをイメージした黄色のストッキングは、あの頃のまま。「野球のまちが盛り上がってくれたら、うれしいですね」。今春から指揮を執る藤丸崇監督(44)はそう言って、目を細めた。不遇の時にも伝統を絶やさなかったOBや関係者の思いが結実した瞬間でもあった。
執念で勝利をもぎとった。1―1で迎えた8回。1死二、三塁の好機で、柳生翔真(3年)が決勝のスクイズを決め、勝ち越した。攻撃的な往時の野球とは違うスタイルだったが、この日はチーム一丸で頂点をつかみに行った。

校名変更危機乗り越え
名将・小嶋仁八郎監督(故人)が率い、2度の全国制覇を成し遂げた小さな港町の公立校は、小技に頼らない豪快な野球で、全国の高校野球ファンの心をつかんだ。しかし、県外からも有力選手が集まってくる私立校の台頭もあり、昭和最後の夏となる88年に県大会を制してからは、甲子園が遠のいた。
最大の危機は2012年。臼杵商、海洋科学高との統合で、新たな校名を公募することになった。校名が消えてしまう可能性もあったが、1000通を超える応募の中で、圧倒的多数を占めたのが「変えないで欲しい」という声だった。全国から寄せられた思いに応える形で存続が決まった。
古豪復活の道を再び歩き始めるきっかけは、「もう一度、野球のまちを」という市民の熱い思いに他ならない。薬師寺琳久主将(3年)がナインの気持ちを代弁した。「普段から地域の方に声をかけていただいて期待を感じていた。伝統あるユニホームで、新しい歴史をつくろうとみんなで話していた」。記憶に残る夏の1ページを刻み、伝統校が新たなスタートを切った。 (加藤 博之)
>全試合結果(報知新聞社)
(2020/8/1紙面掲載)
大分舞鶴 胸張る準優勝
惜しくも決勝で涙をのんだが大分舞鶴が健闘を見せた。ラグビーの強豪校として知られるが、野球の夏の県大会決勝に進出したのは初めて。古豪・津久見と終盤まで接戦を演じてみせた。先発し6回1失点の好投を見せた新名凌馬主将は「優勝を目指していたので悔しさもあるが、3年生の力で勝ち上がった準優勝です」と胸を張った。
(web限定 2020/8/1更新)
>ボーイズリーグ(中学生、小学生の硬式野球)