【高校野球】大崎 島内放送で「吉報」島民が沸いた/センバツ高校野球

第93回センバツ高校野球大会(3月19日から13日間・甲子園)

 29日に開かれたセンバツ高校野球大会の選考委員会で、九州・沖縄、山口から6校が選ばれた。長崎県西海市の大島にある県立高・大崎(長崎)が春夏を通じて初出場を決めたほか、福岡大大濠(福岡)、明豊(大分)、宮崎商(宮崎)、下関国際(山口)の出場も決まり、21世紀枠で具志川商(沖縄)も選ばれた。

センバツ出場が決まり、帽子を飛ばして喜ぶ大崎の選手たち

人口5000人の公立校初甲子園

 人口約5000人の島に、潮風に乗って吉報が届いた。防災無線による島内放送が響き渡る。大崎高校のセンバツ出場が決まりました――。「おらが島」のチームの春夏通じて初の甲子園切符に、島民が沸き返った。

3年前は部員5人

 チームを率いるのは就任3年目の清水央彦監督(49)だ。就任当時の部員は5人。ボコボコのグラウンドを整備し、野球が出来る環境を整えるところからのスタートだった。指揮官の胸に去来したのは、ひたむきにチームの土台を作り上げた3年生の姿だった。「3年生が積み上げたものがあったから。チーム全体で勝ち取った結果」と感極まった。

寮にブリや野菜の差し入れ

 昨秋の九州大会を制した。坂本安司―調祐李のバッテリーを中心とした守りと、好機を着実にものにする野球が持ち味だ。センバツに向け、今は徹底した走り込みで、下半身強化に励んでいる。清峰、佐世保実で指導者として甲子園経験のある指揮官は、「出るだけでなく勝ちに行く」と力強く言い切った。

 部員29人が生活を共にする寮には、島でとれた魚や野菜が「頑張って」の声とともに差し入れられる。時には大型のブリが10匹以上届くことも。「いつも応援してくださっている島民の方に恩返しできるよう頑張りたい」と秋山章一郎主将。九州王者が島民の期待を背に旋風を巻き起こすか。(加藤 博之)

(2021/1/30紙面掲載)

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