高校野球

(2019/7/26紙面掲載)

第101回全国高校野球選手権

【佐賀】佐賀北 「がばい旋風」再び 2007年全国Vエース・久保監督 涙の初切符

5年ぶり5度目

1失点で完投したエース・川崎大輝
1失点で完投したエース・川崎大輝

▼決勝(7月25日・佐賀県立)

佐賀北 110 100 100=4

鳥 栖 010 000 000=1

 

左腕・川崎1失点完投

 重圧から解き放たれて感極まった。佐賀北の久保貴大監督(30)は顔を覆い、1分ほど肩を震わせた。「よかったです…」。ようやく絞り出した一言に、様々な思いが凝縮されていた。甲子園V腕監督として挑む2度目の夏。チームを頂点へと導き、夢見心地で宙を舞った。

 

 勝利の立役者は、かつて監督が背負ったのと同じ背番号1で、先発左腕の川崎大輝(3年)だ。初回にスクイズで先制点をもらうと、投球の8割を占める変化球で、丁寧に粘り強く低めを突いた。序盤の再三のピンチも淡々と左腕を振り、決定打を許さなかった。

 

 5回に2死満塁のピンチを背負ったが、最も自信のあるスライダーで4番中村を二ゴロに仕留めた。「競った展開でピンチの時に抑えるのが本当のエース」。指揮官の言葉通りの投球で、反撃を許さなかった。

久保貴大監督
久保貴大監督

チーム救った伝統の交換日誌

 チームはここまで決して順風満帆だった訳ではない。17年秋の就任後、初めて臨んだ昨年は初戦敗退した。周囲はどうしても全国制覇した百崎前監督と比べてしまう。練習内容や采配に批判的な意見を持つナインも現れた。

 

 そんな時にチームを救ったのが、監督とナインをつなぐ交換日誌だった。久保監督が選手だった頃から続く伝統。選手らは言葉にしづらい思いをつづり、久保監督ら首脳陣は毎日、返事を書いた。本音をぶつけ合う言葉が指揮官とナインをつなぎ、次第に不信感は消えていった。

 

 春の佐賀大会で初戦敗退後、小野颯真主将(3年)らが中心となって選手だけのミーティングを開いた。「先生は甲子園で優勝を経験している。信じてやっていこう」。チームが一丸となった瞬間だった。

 

 初戦の鹿島戦で3点のビハインドをひっくり返したように、逆境をはね返す底力は、当時をほうふつとさせる。全員でつかんだ甲子園切符。かつての「がばい旋風」も、ここから始まった。(加藤 博之)

※新聞紙面では別カット写真を掲載 バックナンバ-お買い求め方法

鳥栖 あと一歩及ばず

 鳥栖は2002年以来17ぶりの夏の甲子園出場を目指したが準優勝。2年前の決勝に続き、またしてもあと一歩で涙をのんだ。初回から何度も好機を作ったが、決定打を欠き、堀江幸弘監督(54)は「川崎投手にすばらしい投球をされた。それでも選手たちはよくやってくれました」とねぎらった。