【ボートレース】今村豊の足跡 記録にも記憶にも残るレーサー 衝撃の出世ロード

1984年の浜名湖オールスターでSG初優勝(日本モーターボート競走会提供)

異次元ターンでデビュー節優出

 今村豊は記録にも記憶にも残るレーサー。ボート界で後にも先にもこんな選手はいない。特にすさまじかったのはデビュー直後から頂点に駆け上がるまでの出世ロードだ。「時代が違う」という言葉では片付けられない、あの当時の感動と衝撃を今のボートファンにも味あわせてあげたいが、それはとても無理な相談…。

 大げさではなく、本当に他の選手が止まって見えるほどの異次元の全速ターンをひっさげ、初出走の徳山からいきなり優出、しかもあわや優勝…というレースで惜敗3着という鮮烈デビュー。

 そのデビュー期に6・20の勝率を残してA級に特進すると、翌年5月の住之江オールスターにファン投票16位で選ばれ、デビューからわずか360日でSGに初出場を果たした。しかも、予選落ちしたが3勝をマーク。舟券は常に1番人気で売れていた。

2年目の賞金ランク7位

 その2か月後には3回目の出場だった7月の丸亀周年でGⅠ初優出、初優勝の偉業を達成。デビューしてわずか1年2か月、地元で完全優勝に王手をかけていた平尾修二のイン戦を大外6コースから全速ターンで置き去りにした。さらに12月の地元下関周年で今度は大外からのまくり差しでGⅠ2勝目を飾った。

 当時は年に4回しかなかったSGのうち、オールスターの後も8月の蒲郡メモリアルと10月の桐生ダービーにも出場。ダービーではデビューしてわずか1年5か月にしてSG初優出も果たした。

 この2年目の1982年はGⅠ2回を含めて5回の優勝を飾り、賞金ランクはなんと7位! グランプリ(第1回は4年後)があれば文句なしに出場していた。今、2年目の新人がグランプリに出場するなんてことはとても想像できない。

 唯一、壁にぶち当たったと言えるのが翌3年目。この年は初のF2なども経験して優勝は一般戦の2回のみ。賞金ランクも96位だった。

デビュー3年ジャストでSG初制覇

 しかし、4年目の1984年に、また衝撃が走る。5月の浜名湖オールスターで、デビュー3年ジャストでのSG初制覇。6コースから差し、2Mで全速ターンを決めての優勝と、その勝ち方がまたすごかった。

 22歳11か月のSG最年少優勝記録だけは、後に服部幸男に抜かれてしまったが、360日の最短SG初出場、1年5か月の最短SG初優出、1年2か月の最短GⅠ初優勝の記録は、今後絶対に破られることのない、不滅の記録と断言できる。(井上 誠之)

(2020/10/9紙面掲載)


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