【ボートレース】今村豊さん まな弟子・白井英治の優勝で涙/長谷昭範記者 忘れられないワンシーン

サインには「努力」の二文字

 今村さんが19歳でデビューした時、私は8歳だった。先輩記者と違って、今村さんの全てを知らない。それでも、誰よりも多く接してきたという自負はある。共通点は同じ山口県出身という1点だが、今村さんは大好きで特別な存在だった。

 今村さんは「天才じゃない」と笑った。サインには必ず「努力」と書き添えた。強くなるために誰よりも練習した。弟子の白井英治らにも徹底させた。「若い時はボートに乗りまくってました。それが師匠の今村さんの教えでした。今、こうやって記念戦線で走られているのは、その努力があったから。今村さんには本当に感謝しています」と、白井は振り返る。

徳山グラチャンで寺田たたえる

 今村さんの涙を2度、目の当たりにした。11年7か月ぶりにSG優勝を飾った04年の福岡クラシック。そして、白井がSG初優勝を飾った14年の若松メモリアルだ。ピットに戻ってきた白井に速足で駆け寄り、抱きしめて涙したシーンは一生忘れない。

 山口支部の結束力を感じたのが、18年の徳山グランドチャンピオンだ。表彰式のステージに上がった今村さんは優勝した白井だけでなく、予選を1位で通過した寺田祥にも「このグラチャンを引っ張ってきたのは寺田。この2人の頑張りを本当に褒めてやってください」とたたえたのは感動的だった。レジェンドの思いは白井、寺田らに引き継がれていく。 (長谷 昭範)

(2021/3/26紙面掲載)

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