2017年8月某日。Web担当YとHはボートレース福岡にいた。
 「報知のボート欄は情報量が豊富で、記者も熱心。もっと多くの人が読んで、参考にしてもらいたい。ならば、自分たちが舟券を買ってそれを証明しよう--」

 

 上司からレース場に行く許可を得た。しかし、「舟券代は自腹ね」と通告を受ける。当初は記者の印(フォーカス)通りに購入しようとも考えた。本紙予想3連単のフォーカスは8通り。これを全レース均等に購入してプラスにできるほどボートレースは甘くない。

 

 新聞にあるデータや取材情報をもとに、独自に予想を立てて舟券を買うことにした。

 

 あらかじめルールを決めておいた。
 ①報知の紙面とレース場発行の出走表、場内放送以外は見てはいけない
 ②当日を含め、事前にデータベース系サイト等での予習は禁止
 ③全てのレース担当記者に業務以外の連絡は禁止
 ④レースによっては“見"(けん=パス)も可

 

 軍資金は1万5000円。YとHが折半する。予想の組み立てはボート歴23年の“自称"上級者Yが行う。


 入場し、1階売店でスポーツ報知を購入する。新聞代140円も自腹。なおY、Hともに自宅から持ってきていたのだが…。


まずは【1R】
 福岡担当の田原記者は②安東を本命に。今回成績欄を見てみるとS(スタート)順が早い。1コース想定の①宮地は機力評価低く、下位着が続く。②安東がまくる展開になるか。


 そうなると③下河に展開が向きそう。出足、エンジン素性とも◎の評価。福岡は②=③が決まりやすいし、③の頭の方が配当的妙味がある。ウォーミングアップ代わりに、③=②から④、⑥を3着につけて計500円購入。

 

 結果は、①宮地がS持たせ、②安東は差し回りで②①③1220円。田原記者の予想は◎△○で的中した。


 1Rの後、各レースの「本命率」を出走表に書き写す。田原記者はこの日、本命率60%を6個レース。65%を5個レースにして、7Rは70%に。


 本命率の高低により、1着が堅そうなレースか波乱含みかが一目で分かる。65%以上は後半レースに集中。高配当を狙うなら前半で、後半は本命筋を絞って勝負と構想を描く。

 

 また「水面予報」もチェック。この日は時間がたつほど潮が低くて好水面。まくりやまくり差しも決まる可能性がある。

 

 2Rは“見”、3Rは計900円購入して外れた。


 4Rは本紙予想本命の②松尾が差すとみて②=①などを計800円購入したが、結果は③②④2960円。田原記者の予想は○◎▲で的中。フォーカス通りに買っていれば…。

 

 5Rは“見”。その間、売店で昼食を購入する。Yは野菜天、きくらげ天のおでんと唐揚げ棒、串カツで560円。Hはおにぎり、ゆで卵に唐揚げ棒、串カツで510円。お手頃でおいしい。


 この5R、本紙予想は◎○△で的中、払戻金は3180円だった。続く6Rは計1700円購入も外れ。前半が終わり、4レース購入して的中なし。マイナス3900円、残り資金は1万1100円。本紙予想はそこそこ的中しているが、Yの舟券戦術がチグハグ。果たして後半に取り戻せるか。


【7R】
 ①尾嶋が自信の二重丸に。問題は2着探しだ。報知の今回成績欄を見ると、④沖島はSが決まっている。1着なら準優1号艇のチャンスもあるなら、Sを決めて握って攻めるはず。だが、まくり切れるほどの足はなさそう。そうなると、田原記者が○に抜てきした⑤柳内に展開が向く。機力評価も高く、オッズも①⑤④で27倍、①⑤②なら50倍。「おいしい!」。ここが勝負と思ったYは、①⑤②を本線に、これまでで最高の計2000円を購入した。

 

 レースは予想通り、①尾嶋が先マイし、④沖島がまくって攻めるが流れ気味。「これは⑤が2着には来るやろ!」。YとHが叫ぶ。だが、⑤柳内はワンテンポ待って差した。その上を⑥大田がまくり差し。結果は①⑥④で1万3000円と、頭鉄板レースでまさかの万舟券だった。意気消沈した後なので8Rは“見”。


【9R】
 後半レースで唯一の本命率60%。格上の⑥林はコース遠くなりそうで波乱含みだ。田原記者のコラム「密着取材情報」は②曽根をピックアップ。「行き足から伸びは変わらずいい」というコメント通り、S展示や周回展示の気配、それにレースの合間に行われていたS特訓でも行き足の良さが目に付いた。


 ここは田原記者の狙い目に乗って②曽根から勝負だ。2コースまくりならマーク位置になる③松尾への②③⑤、②③⑥を少々厚めに計2100円購入。


 結果は⑥林が5コースからまくり一撃。⑥①③で2470円。②曽根は不発だった。


 翌日のスポーツ報知。曽根のコメントは「行き足から伸びは本当にいい。Sで様子を見てしまった。もったいない」とあった。田原記者も再度、「密着取材情報」で曽根を狙い目に推した。そして、9Rで4コースから勝って3万円台の高配当を提供している。1日遅えよ…。でも曽根を推し続けた田原記者の眼力はさすがだ。


【10R】
 残り資金は7000円。穴をちまちま買うよりも本命を効率よく当てて取り戻したいところ。本紙予想のフォーカスから絞りに絞り、ヤケクソ気味に①②③を3連単1000円1点買い。

 

 結果は4コースになった⑤丹下が仕掛け、④尾崎がまくり差し。外3艇決着で④⑤⑥1万8940円。買っている目が上位3着に一つも絡んでいないという超レアな外れ方だ。つける薬もないくらい、Yの予想はさえない。


 11Rは計2000円分購入して外れ。ここまで一つも的中していない。見学した5Rや8Rは田原記者が本紙予想で3000、4000円台の配当を的中している。

 

 残り資金は4000円。Yにお金を託しているHは、あきれ気味。この日が初日だった若松SGの紙面を見入るなど、諦めムードが漂っていた。(Hは実際に場外舟券を買っていた。)


【12R】 
 ①山田が本命。インが強くない福岡で、最後に本命勝負ができるか? 原点に帰り、報知の紙面のデータをじっくり見て、選手のコメントも再度読み直す。②佐藤はS順が早く、まとまっている。コメントは「低調機の中では上位に近い足がある」。②佐藤を壁にして①山田が逃げる展開とみた。④尾嶋は気配、レース内容がいい。順当なら①②=④だろう。

 

 しかしオッズは激安だ。①②④は7倍程度。これを3000円買うことにした。残り1000円。オッズ8倍程度の①④②を買うか。いや、トータルでプラスにならないと企画倒れだ。ならば展示気配良かった③松田への①②③を買うか。迷ったが、田原記者が△印を回している⑤森への①②⑤ならギリギリ15倍。よし、決めた。①②④、①②⑤の2点で勝負だ。

 

 締め切り後に気づいたが、①②⑤のオッズは13.6倍まで下がっていた。この時点で①②④しかトータルでプラスにできる可能性は残されていなかった。


 レースが始まった。①山田のイン先マイを②佐藤が差してバックストレッチは②-①の隊形。「この企画はボツか…」「9月は小遣いを切り詰めないと」「H君に一生恨まれそうだ」。Yの心の中でさまざまな感情が交錯する。

 

 1周2マーク。①山田が差し返しに行く。②佐藤の艇は、ややバウンド。①山田が逆転した。Yが叫ぶ。「次は尾嶋!」。3着は③松田がややリード、④尾嶋が追う展開。2周1マーク。④尾嶋がズバッと差した。こっちも逆転だ。結果は①②④で690円のド本命決着。それでも払戻額は2万700円となり、土壇場でトータル5700円のプラスに。

 

 波乱続きだったこの日の福岡で本命勝負できたのは、②佐藤のS順の安定と取材情報が決め手になった。S順は報知以外ではあまり見られないデータ。新聞紙面のおかげだ。



 ◇舟券成績
  購入 9レース

  的中 1レース

  

  購入額合計 1万5000円

  払戻額合計 2万 700円

  

  収支合計 +5700円

  回収率 138% 


 ちなみにこの日、本紙予想は3連単で6レース的中。フォーカス通りに100円ずつ買った場合、購入額合計9600円に対し、払戻額合計は1万5900円。+6300円で回収率は166%と田原記者の予想がさえた。やっぱりスポーツ報知のボート欄は役に立つ。

 

ボートレース 新聞の見方



※レース結果等は主催者発表のものと照合してください