レースほっとらいん

(2018/12/19紙面掲載)

【ボートレース】

こだわり貫く“個性派”下出卓矢

下出卓矢 ボートレース

究極の伸び足求め試行錯誤

 約1600人いるボートレーサーの中で個性派と呼べる選手は多くない。代表格は6コースを貫く阿波勝哉、沢大介の79期コンビ。その対局にはピット離れでインを狙う石川真二がいる。この面々にも負けない個性派が下出卓矢=写真=だ。こだわるのは伸び足。枠なり進入のため、レースは一見個性的には見えないが、「出足は気にしない」とコメントする時もあるほどスタイルは徹底している。

 

 伸び型の理想型は相手をねじ伏せてまくるレース。魅力が大きい反面、リスクも大きい。そもそもそんな伸び足になること自体が珍しい。「6着の数がすごい多いんですよ。でもそれは割り切ってます」。リスクは覚悟の上。勝つか負けるか、まくるか不発かの一発勝負が基本スタイル。レーサーらしい、勝負師の一面を持つ。

 

 その一方、普段の作業では職人の顔を持つ。レースには毎回、ペラの形を変えて臨むと言う。「今のエンジンは伸びが付かない。この形にしたらいい、というのはないですね。毎回違う形でやって常に試していかないと。限界はないです」。正解が出て終わりではなく、さらに上を目指すという。試行錯誤はずっと続き、引き出しの多さが勝負という。「ペラは人の形は見ません。自分で出すからいい」。機力出しに対するこだわりは非常に強い。

 

 会話の中では「あと何年続けるかは分からないですけど」と気になる発言もあったのだが、今年は住之江周年でG1優出があり、直前の三国周年でも予選突破と上の舞台でも結果を残す。独自路線を貫く苦労は並大抵ではないだろうが、結果が出た時の喜びは大きいようで、話していて仕事に対する充実感が伝わってくる。個人的にもその名があるだけで楽しみがふくらむ選手。スタイル継続へ、陰ながらエールを送りたい。(中村 雅俊)