レースほっとらいん

(2019/9/11紙面掲載)

【ボートレース】

菊地孝平のS力とFを切らない力

6期連続コンマ11

 毒島誠が優勝した大村のSGボートレースメモリアルで、改めて痛感させられたことがある。それは菊地孝平=写真=のS力のすさまじさ。ここ3年間、6期連続で平均Sがコンマ11。2010年前期と11年前期にはコンマ10という驚異的な平均Sを残したこともある。とはいえ、菊地のS力のすごさは平均が早いだけにとどまらない。

 

 メモリアルでは準優勝戦で峰竜太ら3人による集団Fが発生。さらに優勝戦直前の最終日11Rでも山田康二が今期2本目のF。この2レースだけで8億円以上の返還があり、「優勝戦はとにかく無事故で…」という空気がいつも以上に充満していた。優勝戦の敗者の中には「とてもS勝負に行けるような状況ではなかった」とレース後に語った選手もいた。

 

機平凡でもS力で優出2着

 そんな中、菊地はコンマ06のトップS。優勝した毒島とは足の差がありすぎて惜敗の2着だったが、あの状況でコンマ06のSを行ける度胸は本当にすごいし、それが2着という成績に結びついた。実際のところ、あの日の菊地のパワーは、とても優勝戦で勝負になるような仕上がりではなかったのは明白だった。

 

 また、菊地はこれほどまでに平均Sが早いのに、もう4年以上もFを切っていない。メモリアルの準優は3艇の集団Fのレースだったが、これにも巻き込まれていない。Sが早い選手はF多発と背中合わせなのだが、菊地の場合、Fが少ないことも驚嘆に値する。

 

 Fが出るのはS展示の時と気温や風向きに変化があってSが早くなる状況になった時や、進入が乱れてS展示と起こし位置が変わった時などがほとんど。状況把握が甘く、Sが勘よりも早くなっていることに気づかなかった選手がFを切る。

 

 すなわち、菊地の驚異的なS力とFを切らない秘密は、状況把握力とその状況に素早く合わせる修正力が誰よりもズバ抜けているから。もちろん、自分のS力を信じる度胸も備わっているのは言うまでもない。(井上 誠之)