レジャー情報~熊本県~

(2019/1/31紙面掲載)

“いだてん”が晩年を過ごしたまち

金栗四三ゆかりの地訪ねて

~熊本県玉名市の旅(上)~

 温泉でゆっくりしたい――。熊本県北部に位置する玉名市は、のんびりと旅するには持って来いのところだ。今年のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」の主人公・金栗四三(かなくり・しそう)が晩年を過ごしたことでも注目を集めている。その魅力を2週にわたって紹介する。まずは金栗ゆかりの地を巡り、「いだてん」の人物像に迫った。 (加藤 博之)

熊本県玉名市 いだてん 金栗四三
金栗四三の住家は、のどかな田園風景の中にあった

日本初の五輪選手

 かなりユニークな人だったようだ。金栗四三という人は。そして、周りからとても愛されていた。晩年を過ごした玉名市小田の住家は、のどかな田園風景の中にあり、そんな人柄の名残を残していた。

 

 1912年のストックホルム五輪の男子マラソンに、日本人初のオリンピック選手として出場。箱根駅伝などの創設に携わり「日本マラソンの父」と呼ばれる。小田地区で観光ガイドを務めている一瀬憲司さんは、様々なエピソードを聞かせてくれた。

 

 晩年は愛妻スヤと、仲むつまじく田舎暮らしを楽しんでいたようだ。家の周りではニワトリやヤギを飼い、愛犬と日々を送っていた。「いつもニコニコしていて、毎日散歩していました。雨の日でも傘をさして」と一瀬さん。話す時に舌をペロッと出すのが癖だったという。地区の学校の運動会にスターターとして招かれるなど、子供たちの人気者。地域の人からは「走る人(はしっどん)」と呼ばれ、親しまれていた。

熊本県玉名市 いだてん 金栗四三
マラソンシューズの原型とも言われる「金栗足袋」

“ニッポン”こだわり

 住家に続いて訪れたのは、市内にある「歴史博物館こころピア」。ゆかりの品約650点を所蔵している。現在、金栗四三展が開かれており、その展示物の中に「押し花」があった。ストックホルム五輪の際、現地で大会に向け調整している時に、道端の草花を摘んで雑誌に挟んだものだという。

 

 初めての外国、日の丸を背負う重圧、不慣れな選手村での暮らしの慰めにしたのだろうか。世界記録を3度更新するなど華やかな経歴の一方で、どこか人間らしさを垣間見た気がして、親近感がわいた。

 

 同五輪でプラカードを持って入場行進する写真も展示されていた。金栗は「JAPAN」ではなく「NIPPON」の文字にこだわったという。「JAPAN」は外国が付けた名前だから、というのがその理由だそうだ。展示物とエピソードを重ねながら見ていくと、人物像がおぼろげに浮かび上がってきて興味深かった。

 

 ドラマの主人公ということで今、脚光を浴びているが、この人は「普通の人」だったのだと思う。誰もが身近に感じられる飾らない人柄。それが「いだてん」が愛されている秘密のような気がした。

熊本県玉名市 いだてん 金栗四三
金栗の住家を案内する一瀬さん

【玉名市小田】

 住家の庭先には、金栗が毎朝冷水浴をした井戸の跡もある。離れが資料館になっており、当時の写真などが残っている。カメラ好きの金栗は住家の2階で現像などをしていたという。

 

 周辺には「金栗四三翁記念碑・墓地」のほか、金栗が子供らを水遊びさせた「山部田池」、熊本県名水百選にも選ばれた湧水の里「金栗瀬戸口公園」がある。

 

 竹林を切り開いた散策路もあるので、金栗がそうしたように四季折々の自然を楽しみたい。観光ガイドなどの問い合わせは玉名観光協会0968-72-5313


【玉名市立歴史博物館こころピア】

 菊池川流域で発展してきた玉名の歴史に関する常設展や企画展を開催している。現在開催中の「金栗四三展」は、ゆかりの品約70点を展示している。5月6日まで。

 

 金栗四三展は入場無料。午前9時から午後5時(入場は午後4時30分まで)。休館日は月曜(祝日の場合はその翌日)、祝日の翌日(日曜の場合を除く)と年末年始。問い合わせは同館0968-74-3989

【いだてん大河ドラマ館】

 1月12日にオープンした。金栗の生涯をたどるパネルや未公開写真、ゆかりの品などを展示し、その功績を紹介している=写真=。また、ドラマの衣装や小道具のほか、ロケセットも再現した。住家などと合わせ、ぜひ訪れたいスポットだ。

 

 併設の特産品販売所では、玉名ならではの果物や海産物を販売している。金栗の生家がある和水町の「金栗四三ミュージアム」とを結ぶシャトルバスも運行中。3月31日までの土日祝日。

 

 期間は2020年の1月13日まで。午前9時から午後5時(最終入場午後4時30分)。無休。高校生以上600円、小・中学生300円。問い合わせは0570-06-5588

 

【周遊バス】

 金栗ゆかりの地を巡るには周遊バスが便利だ。車体に金栗やくまモンが描かれており、JR玉名駅、ドラマ館、玉名温泉、JR新玉名駅、小田地区、こころピアをまわる。無料。運行期間は2020年1月13日まで。問い合わせは金栗四三PR推進室0968-57-7548

【高瀬船着場跡】

 玉名は菊池川流域の米の集積地として栄えた。蔵出し俵は、石敷の坂=写真=から船に積み込まれた。ここでドラマのロケも行われた。この俵ころがしにちなんだ「大俵まつり」が毎年11月に行われる。重さ1トンもの俵をころがしタイムを競う勇壮な祭り。

 

 また、この近くの高瀬裏川流域では「高瀬裏川花しょうぶまつり」も開かれる。5月下旬から6月上旬にかけて、約700メートルにわたって咲き誇り、多くの観光客を楽しませる。

☆玉名市観光案内サイト タマてバコ☆
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