ほうち楽ナビ~大分県~

(2018/10/11紙面掲載)

大分・国東半島の旅

本格的な「精進料理」と「護摩焚き祈願」を体験

 大分県国東半島に点在する仏教寺院群「六郷満山」は今年、開山1300年の節目を迎えた。神仏習合など古くからの文化を今に残し、豊かな自然に恵まれる同半島は、四季折々それぞれに様々な表情を見せ、訪れる人を飽きさせない。初秋の心地よい風に誘われて、足を運んでみた。(加藤 博之)

六郷満山 護摩焚き祈願
間近で行われる護摩焚き祈願は迫力がある

開山1300年 六郷満山

文殊山寺(国東市)

 カレーにラーメン、パスタ、ギョーザ…。なぜか精進料理を前に、普段食べているものを思い浮かべてしまい、最近出てきたおなかをさすって苦笑いした。本格的な精進料理を食べるのは初めて。一口運んで、思わず「おいしい」と声に出していた。

 

素朴な味に感動

 山菜など地元の食材がふんだんに使われており、お米は住職の秋吉文隆さんが自分でつくったものだった。肉、魚は一切使わない。それでも、野菜の煮物、酢の物や白和え、胡麻豆腐などの一品一品は、シンプルだからこそ素材の味をありありと感じることができた。

 

 天台宗峨眉山文殊仙寺は648年の創建。日本三文殊の一つで、「3人よれば文殊の知恵」で知られる。本堂へは約300段の石段がある。迂回路もあるが、もちろん石段を選んだ。体を動かした後の精進料理でおなかを満たし、次に「護摩焚き祈願」に臨んだ。

 

 本堂から少し石段を上った所に奥之院はある。重厚で厳かな造りだ。内陣と呼ばれる18畳ほどの部屋の中央には、直径約90センチの鉄の釜があった。護摩木と呼ばれる長さ30センチほどの長方形の木に願いごとを書き込み、始まるのを待った。

 

護摩木に願い込め

 白装束を着た秋吉文暢副住職が現れ、お経を唱え始めた。小さかった炎は、護摩木がくべられるにつれて大きくなっていく。釜は仏の口であり、護摩木をのみ込んでもらうことで願いが成就するのだと教えてくれた。間近にみる炎は迫力と静ひつさがあった。耳に響くお経と何とも言えない調和を生み、心が落ち着いていくのが感じられた。

 

 帰り際、ふと見ると、住職が一人座って景色を眺めていた。境内からは瀬戸内海も見渡せた。「これからの紅葉の季節はいいですよ」。そう言われて視線を移した先にあった眺めは、1300年前とさほど変わらないのだろうなと思った。

文殊仙寺

 岩山や自然林など周辺に広がる景観が「国指定名勝」に今年6月内定し、今秋にも正式決定される予定。湧き水の「知恵の水」を飲むと知恵がつくと言われ受験生に人気がある。写経、座禅体験のほか、宿坊としても利用できる。精進料理は2500円。祈願護摩木は1本1000円。問い合わせは0978-74-0820

六郷満山 精進料理
シンプルだがとても味わい深い精進料理。これに天ぷらが付く

杵築市 酢屋の坂
風情を感じさせる「酢屋の坂」

映える 観光スポット点在

杵築城下町(杵築市)

 一筋に伸びた商人の町を挟むように、南北の高台に武家屋敷群がある。「サンドイッチ型」の城下町が特徴だ。着物をレンタルして町歩きする観光客が多く、まるでタイムスリップしたような気分になれる。数多くある坂は、かつての情緒を多く残しており、人気の撮影スポットだ。(問)杵築市観光協会0978-63-0100

 

中野酒造(杵築市)

 明治7年創業。代表銘柄である「ちえびじん」の純米酒は、7月にフランスで開かれた日本酒コンクール「KURA MASTER2018」で、650点の中から最高の「プレジデント賞」に輝いた。地下200メートルから湧き出る「仕込み水」がおいしさの秘密だ。酒蔵見学もできる。0978-62-2109

 

別府湾漁船クルーズ(日出町)

 実際に漁を行う漁船で、クルーズ体験ができる。大神(おおが)漁港と日出漁港発着のコースがある。朝市を見学できる「朝市クルーズ」や、別府の夜景が楽しめる「別府湾夜景クルーズ」などがある。(問)日出町観光協会0977-72-4255