旅ゴコロ~熊本県~

(2017/11/9掲載)

阿蘇のにぎわい 徐々に

阿蘇 草千里 2017年秋
南登山道の開通で、にぎわいを取り戻しつつある草千里

阿蘇の旅~2017秋

 昨年4月の熊本地震から約1年半。世界最大級のカルデラが人気の観光地・阿蘇も大きな被害を受けた。通行止めとなっていた道路は徐々に開通し、客足は少しずつ戻ってきている。自然災害で激減した観光客を呼び戻すのもまた、人を引きつけてやまない大自然なのだろう。秋の行楽シーズンを迎えた同地域を訪ねた。2週にわたって紹介する。 加藤 博之

阿蘇道路状況 2017年11月9日紙面掲載時
※道路状況は2017年11月9日、紙面掲載時

「阿蘇登山道路」2ルート通行可能に

 草千里をのどかな秋風が渡っていった。緑と青空のコントラストが映える。阿蘇の雄大な自然は、被災前と何ら変わりなく、優しく迎え入れてくれた。家族連れやカップルが笑い合いながら景色を楽しんでいる。秋の行楽シーズンを迎え、一時は激減した観光客もようやく戻りつつあるようだ。

 

 今回の旅は、熊本市方面から県道57号線を東へ進み、8月に開通した長陽大橋ルートを通って、南阿蘇村に入った。阿蘇五岳を左手に見ながら進み、10月4日に開通したばかりの阿蘇南登山道(吉田線)県道111号を通って中岳火口近くの草千里に着いた。

 

 「阿蘇火山博物館」は草千里を一望できるところにある。熊本地震で甚大な被害を受け、ようやく10月1日に全面オープンした。被災直後は壁が崩れ、床に亀裂が入り、映像設備が壊れた。「再開は無理かな」という状況からここまでこぎ着けた。同館の岡田誠治常務理事によると「観光客のにぎわいは、まだ最盛期の3割から4割」という。それでも「私たちが元気を出さないと、観光客の方にも来てもらえない」と話し、道路の開通に期待を寄せている。

 

来春は火口見学も

 これで阿蘇登山道路3ルートのうち、2ルートの通行が可能となった。来春には自主規制が続く火口見学も再開される見通しだ。崩れた山肌や、補修工事を行っているところも多く見られた。それでも今回、改めて実感したのは、自然の豊かさ。これだけ人を引きつけるものがある限り、必ず客足は戻ってくるはず。その兆しを、確かに感じることができた。

     ◇

 次週(11月16日)は、パワースポットとして注目を集めている「上色見熊野座神社」や、伝統料理の「高森田楽」など、阿蘇・高森町の魅力を紹介する。

南阿蘇鉄道 マンガよせがきトレイン

「マンガよせがきトレイン」運行中

 南阿蘇鉄道では「がんばれクマモト! マンガよせがきトレイン」を、高森―中松間で運行している=写真=。被災地を勇気づけようと、117人の漫画家や原作者が応援イラストを寄せた。平日が1往復、土日祝日は2往復で、11月30日まで。(問)南阿蘇鉄道0967-62-0058

 

「復興マーケット桜咲」8店が営業中 南阿蘇村

 南阿蘇村にある「復興マーケット桜咲」では、被災した8店舗が営業している。炭火焼き肉「陽氣茶屋」の井上興国さん(72)、雅子さん(71)夫妻=写真=は、地震で店舗が全壊。仮設住宅に暮らしながら、ここで営業を再開した。「以前と同じ生活を取り戻すのは難しい。前のお店に来てくれていたお客さんが心配して遠方から訪ねてくれることもあります。うれしくて涙出ますね」と話す。プレハブの店舗からは、復興はまだまだ途上にあることを感じさせられた。

後編

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