フルコンタクト空手「新極真の風」

(2019/11/1紙面掲載)

第12回全世界空手道選手権大会

迫る全世界大会 燃える新極真会福岡支部

新極真会福岡支部5選手が挑む 精鋭紹介(下)

 11月9、10日に東京で開かれる「全世界空手道選手権大会」。4年に一度、フルコンタクト空手の世界王者を決める戦いに、新極真会(緑健児代表)福岡支部から緑強志(30)、亀山真(27)、江口雄智(23)、南原朱里(20)、藤原桃萌(20)の5人が出場する。亀山、南原に続き、今回は緑、江口、藤原を紹介する。

「納得のいく試合がしたい」と話す緑
「納得のいく試合がしたい」と話す緑

 緑  強志  (みどり・つよし)

 

“初の世界”空手人生の集大成

 やれることは、全てやった。そんな心持ちで、緑は決戦の舞台に立っているはずだ。「特に変わったことはしていません」。世界大会だからといって特別なことはせず、いつも通りの準備を着々と行っている。

 

 そうは言っても、練習は当然激しさを増す。初めて挑む世界大会。「年齢的にも、現役で最後となるかもしれないですし、自分で納得の行く試合や組手をしたい」。稽古の一つ一つに、そんな覚悟がにじむ。

 

“最後の戦い”覚悟 納得行く試合を

 5歳の時に空手を始めた。父は新極真会代表の緑健児。第5回大会を制し「小さな巨人」と呼ばれた世界王者だ。父が頂点に立った1991年、強志は2歳だった。

 

 奄美大島の大自然の中で育った。中学までは空手とサッカーに熱中。高校からはこの道一本に絞った。高校3年の時には全日本大会で優勝、2015年の「KWU世界大会」の75キロ級を制するなど、着実に結果を残してきた。

 

「空手は気持ち」持てる力を出し切る

  これまで世界王者の長男として注目を浴びてきた。周囲はどうしても、1メートル65、72キロの体格で頂点を極めた父の姿と重ねてしまう。「重圧もありましたけど、小さくならずに楽しめたら」。今ではそう思えるようになった。

 

 父が世界を制した29歳より一つ上の年齢になった。円熟期を迎え、空手人生の集大成と位置づける大会はすぐそこ。「空手は気持ちですから」。持てる力を出し切ることだけを考えている。やれることは全てやった。大会の後、そう思えるように。

 

江口の視線は頂点だけを見据えている
江口の視線は頂点だけを見据えている

 江口 雄智  (えぐち・ゆうと)

 

少年の夢 世界王者今こそ

 真っすぐな視線は、ずっとぶれることがなかった。小さい頃から、世界チャンピオンになる。そう言い続けてきた。「誰もが目指す最高峰の大会。出られなかった人の思いも背負って、覚悟を持ってやる」。きりりと口元を引き締めた。

 

 世界の舞台は4年前に続いて2度目。その時は4回戦で敗退した。何が足りないのか。自問した。国際経験が必要だと感じた。ベルギー、デンマーク、オランダ、フランス…。欧州の国々をホームステイしながら海外の大会に出場する“武者修行”が始まった。

 

 たくさんの空手家と出会う中で、空手に対して様々な考え方があることを知った。今大会に向けても「外国人に共通する弱点も分かっている」と自信を見せる。

 

海外修行に加えメンタルも強化

 2017年の「世界ウエイト制大会」で敗れた後には、メンタルトレーニングも取り入れた。「日常生活からきちんとしていなければ、正々堂々と戦えない」。試合や組手以外でも、人として成長できたこと。それが4年前との一番の違いかもしれない。

 

 大会を控えた福岡市薬院の本部道場。激しいミット打ちを繰り返した直後だった。これ以上ないほど自身を追い込んだ状態から、おもむろにダッシュを始めた。極限状態からもうひと踏ん張り出来る精神力。それがここぞの場面で、雌雄を決すると信じているからだ。

 

 すべては、この世界大会で結果を残すため。積み上げてきた様々な経験を糧に、夢の舞台に立つ。


家族の思いも力に変えて、藤原が世界の舞台に挑む
家族の思いも力に変えて、藤原が世界の舞台に挑む

 藤原 桃萌  (ふじわら・もも)

 

憧れの舞台 絶やさぬ笑顔

 厳しい稽古の中にあって、いつも笑顔が絶えない。空手が好きでたまらない--。藤原を見ていると、そんな思いが伝わってくる。加えて、ずっと憧れてきた夢の舞台に立てるとあって、表情は一段と喜びに満ちている。

 

 兄・将二郎は4年前の世界大会代表。早くから重量級のホープとして期待されてきた。昨年に続き、5月の「JFKO全日本大会」で2年連続準優勝を果たし、代表入りを決めた。その今年のJFKOの決勝戦をベストバウトに挙げる。

 

 その理由は「力を出し切ることが出来たから」。大きな自信を得たという。パンチで圧力をかけていく、パワーあふれる組手が武器。ただ今回はさらに体が大きい海外勢が相手となる。対策は? 「負けないだけのパワーを付ける」。そう言って、また笑顔を見せた。

 

「スマイル」武器に平常心で

 兄の背中を追うように、3歳から空手を始めた。やっとたどり着いた大舞台だ。日の丸を背負う重圧。家族の思い。様々な思いが交錯する中で、「緊張せず、楽しめたらいい」と話す。平常心で臨むための一番の武器は、周囲をも和ませるその「スマイル」なのかもしれない。

 

 一番のごほうびは、試合後に家族で一緒に食事すること。あーだったね。こーだったね。みんなでワイワイ会話するのが楽しい。「絶対に優勝するつもりで臨みたい」。ずっと支えてくれた人たちに、笑顔でいい報告ができると信じている。