【フルコンタクト空手】亀山真&江口雄智 日本一 新極真会福岡支部から2人の王者誕生/JFKO全日本大会

第6回全日本フルコンタクト空手道選手権 5月29、30日/エディオンアリーナ大阪

流派超え激突

 「第6回全日本フルコンタクト空手道選手権大会」(JFKO)は5月29、30日、大阪府のエディオンアリーナ大阪で開かれた。流派を超え、男子は5階級に計288人、女子は4階級に計103人がエントリー。各階級の日本王者を目指し、熱戦が繰り広げられた。新極真会福岡支部からは男女合わせて24人が参戦。男子は、重量級の亀山真(28)、軽重量級の江口雄智(25)が初優勝を果たした。2年半ぶりに実戦復帰した藤原将二郎(28)は軽重量級でベスト8まで進んだ。女子では、重量級の藤原桃萌(22)が4強入りした。

男子重量級を制した亀山真(右)と、軽重量級Vの江口雄智

亀山真(男子重量級)今までの積み重ね 念願かなう

気迫あふれる組手で亀山真が重量級の頂点に立った

 残り40秒を切って、亀山が猛然とラッシュをかけた。左右の下段を次々と繰り出す。ここが勝負所だ。無心で、とにかく前へ。延長のことは考えず、持てる力を振り絞った。

 本戦3分を終え、旗判定に。亀山の勝利を告げる旗が4本上がった。ついに、念願の日本一を手にした。緑健児師範の元へ報告に向かう。あふれそうになる涙を、必死にこらえた。

 決勝の相手は入来建武。昨秋行われた無差別級の日本王者を決める全日本大会を制した実力者だ。過去3度対戦し、すべて敗れていた。決勝戦を前に、緑師範から声をかけられた。「今まで積み重ねて来たことが、いい流れになって真に返って来ている。チャンスだからつかみ取れ」。力強く、うなずいた。

「次は俺がやる」

 確かに、流れが来ていた。目の前で、江口が軽重量級優勝を決めた。「よし、次は俺がやるしかない」。自らを鼓舞した。セコンドには、同じ奄美出身でずっと指導してくれている渡辺大士師範代がいる。何の不安もなかった。目の前の相手を倒す。そのことだけに集中した。取るべくして、勝ち取った日本王者だった。

 転機は、昨秋の全日本大会。3回戦でまさかの敗戦を喫し、自身の空手を見つめ直した。緑師範からのアドバイスで、減量に取り組み、体重を104キロから95キロまで絞った。パワーを落とすことなく、技のキレとスピードが増した。勝利を重ねるたび、取り組んできたことは間違ってなかったと、確信に変わっていった。

感謝の思い力に

 「周りに恩返ししたい思いで頑張れた。そういう気持ちが大事なんだと改めて感じました」。奄美にいる両親、福岡支部の仲間。そして食事面でサポートしてくれた妻・千春さん。周囲への感謝の気持ちを力に変えてつかんだ頂点だった。

【亀山真の成績】
▼2回戦 ○4-0 岡田英士(新極真会和歌山支部)
▼3回戦 ○5-0 刀禰篤丈(白蓮会館)
▼準々決勝 ○5-0 早川羅偉(桜塾)
▼準決勝 ○5-0 渡辺優作(新極真会世田谷・杉並支部)
▼決勝 ○4-0 入来建武(新極真会東京城南川崎支部)

江口雄智(男子軽重量級)「必ずV」有言実行 次は世界へ

軽重量級で、ついに江口雄智が日本一の称号を手にした

 重圧をはねのけて、有言実行を果たした。緊張感から解放され、表彰台の頂点で、江口はようやくほっとした表情を見せた。「必ず優勝する」。自身にも言い聞かせたその言葉通り、日本一の称号を手にしてみせた。

 危なげなく白星を重ねた。順調に勝ち上がると、準々決勝の賀数拓海戦では、突きからの左上段回し蹴りで鮮やかな技あり。決勝の湯川智仁戦でも、相手へ圧力をかけ続ける積極的な組手で圧倒。5-0の判定で勝利した。

 実は、とまどいもあった。2019年の世界大会で8強、昨秋の全日本大会で4強。ただ、まだ一度も日本一のタイトルを手にしたことはなかった。「自分が第1シードでいいのかな」。そんな思いを払拭するため、ひたすら稽古に打ち込んだ。

5戦全て本戦決着

 今大会のテーマは、優勝はもちろん、自分の組手を貫くことができるかにあった。自身との闘いだったが、初戦から決勝までの5試合全て本戦決着。文句なしの内容で初タイトルをつかんだ。緑健児師範も「重圧に押しつぶされる選手もいるが、見事に責任を果たした」と、賛辞を惜しまなかった。

2か月の休養 映像見て初心に戻る

 昨秋の全日本大会を終えた後、思い切って2か月間を休養にあてた。空手を始めて以来、これだけの期間休むのは初めて。この間、様々な試合の動画を見ることに時間を費やした。

 映像を見ていて、思わぬ発見があった。2年前の世界大会。気迫を前面に押し出し、強豪に向かって行く自身がいた。「あの時は、死んでもいいくらいの気持ちで、全力で挑んでいた。映像を見て、また改めて世界を目指そうと思えた」。初心に戻れた瞬間だった。

 ついに、憧れ続けた日本王者になった。それでも、ここはもちろん通過点だ。「いつか、世界大会で優勝したい」。夢への階段を、着実に上がっていく。

【江口雄智の成績】
▼2回戦 ○5-0 難波隼平(新極真会大阪北支部)
▼3回戦 ○3-0 日下部尚弥(総極真選手会)
▼準々決勝 ○5-0(技あり・上段回し蹴り) 賀数拓海(新極真会江戸川道場)
▼準決勝 ○5-0 鳥原隆司(新極真会宮崎中央道場)
▼決勝 ○5-0 湯川智仁(新極真会群馬支部)

(2021/6/6紙面掲載)

※新聞紙面(6月6日)では福岡支部から出場した他選手の記事、記録を掲載 <バックナンバ-お買い求め方法

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