【福岡】福岡県立美術館「バーチャル美術館」公開 貴重な作品を手軽に鑑賞

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け各地で緊急事態宣言が発令され、行楽に出かけることができず、フラストレーションがたまっている人も多いだろう。そんな中、オンラインによるバーチャル(仮想)美術館やツアーなど、おうちで満喫できる娯楽が注目されている。様々な工夫も随所に凝らされており、オンラインならではの楽しさもある。

貴重な作品を手軽に鑑賞できるバーチャル美術館

拡大も自在 細かいタッチや技法発見

 福岡県立美術館(福岡市中央区)は、所蔵品を「福岡県立バーチャル美術館」として公開している。開設から約2か月で4万ビューに迫るアクセスがあり、担当者も「想像していた以上の反響で、多くの方に見ていただいている」と喜んでいる。

 美術館の紹介ムービーも含め3つの構成に分かれている。「福岡県美のたからもの」では、近代以降の洋画や油絵を中心とした約1万点の所蔵品の中から、100点を厳選し紹介している。ページを訪れると、複数の絵画が表示される。興味を持った作品をクリックすれば、詳しい解説も読める仕組みだ。

 通常の展示会では、鑑賞の際に、作品と一定の距離を保たなければならないが、バーチャル美術館では、画像を拡大して細かい部分まで見ることができる。細かいタッチや線などで画家の意図や技法を発見するといった面白さがたっぷり詰まっている。

「髙島野十郎の世界」140点中40点紹介

 「髙島野十郎の世界」も興味深い。髙島野十郎(1890~1975年)は久留米市出身の洋画家。生涯独身を貫き「孤高の画家」と呼ばれ、没後に注目を浴びた。写実的でありつつ強烈な個性を放つ作品は多くのファンを持つ。今回は同館所蔵の140点の中から40点を紹介している。

 会場に足を運び、実物を鑑賞するのが一番だろうが、初心者向けの「入り口」としてバーチャル美術館は最適とも思える。学芸員の高山百合さんは「実物とバーチャルでは受ける印象も違うはず。詳しい解説も載せているので、背景なども知っていただければ」と話している。 (加藤 博之)

福岡県立美術館(外部リンク)

(2021/5/23紙面掲載)

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