【大分】鉄腕エースの地元・別府に「稲尾記念館」 偉業伝える品々/西鉄ライオンズ球団発足70周年

別府市民球場内
稲尾さんの現役時代の投球フォームを再現したブロンズ像

完成翌月に他界

 黄金期のエースで「鉄腕」と呼ばれた稲尾和久さんの地元、大分県別府市に記念館がある。JR別府駅から車で10分、鶴見の市民球場内に開設されている。

 球場の玄関から入ると、投球フォームを再現したブロンズ像が出迎えてくれる。約40平方メートルの展示室には現役時代のユニホームやスパイク、トロフィーなど栄光の足跡を伝える品々や写真パネルが並び、往時の映像も見ることができる。

 完成したのは2007年10月。セレモニーに招待されて喜んでいた稲尾さんだったが、その翌月に、70歳で亡くなった。

 おいにあたる別府市教育委員会教育部次長の稲尾隆さん(60)は小学生のころ、平和台球場(福岡市)で力投する晩年の鉄腕を応援した。「故郷の振興に役立ててほしいと展示品を快く寄贈してくれたと聞いています」と話す。

「鉄腕」の偉業を伝える品が並ぶ稲尾記念館

入場無料

 伝説の大投手を多くの人に知ってほしいと、記念館は入場無料だ。温泉観光地の別府市にあって、通常は観光コースに組み込まれていないが、荒天時などに急遽、案内されるケースもあり、「特に年配の団体客に喜ばれます」と記念館の担当者は説明する。

 稲尾さんは漁師だった父親を手伝い、伝馬船の櫓を漕ぐうちに自然と足腰が鍛えられた。生家は元町の竹瓦温泉の近くにあった。幼少期、「三角ベース」に熱中したという近所の波止場神社には現在、ボールとバットをデザインした石碑が設置されている。シーズン42勝のプロ野球タイ記録を達成した「神様、仏様…」の原点を訪ねる人もいる。

 ◇市民球場・記念館は0977・21・6150

(2021/8/24紙面掲載)

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