【わんにゃんリポート】「鼻紋認証」アプリで迷子犬の早期発見につなげよう

 「もし、ウチのわんちゃんが迷子になったら…」。そんな愛犬家の不安を解消してくれるスマートフォンアプリが、東京のベンチャー企業によって開発されました。飼い主が犬の鼻の動画をスマホで撮影して登録しておくと、愛犬が迷子になっても、見つけた人が登録済みの犬と照会できる画期的なシステムです。(松永 康弘)

犬の鼻紋は世界に一つだけ(上段および下段左から1、2枚目はスモア提供)

ペット関連IT企業が開発 登録6000人超

 アプリの名称は「NoseID(ノーズ・アイディ)」。かつて同じ職場の同僚だった韓慶燕さん(31)、澤嶋さつきさん(32)が「ペットと飼い主が安心して暮らせる社会を支えたい」と「S’more(スモア)」を起業。5月にアプリのテスト版をつくると反響を呼び、登録者は約40日間で6000人を超えました。

 犬の鼻のしわの模様「鼻紋」は、人の指紋と同じように個体ごとに異なります。この鼻紋を人工知能(AI)で解析すると個体を特定でき、迷子になった愛犬の発見につながります。

犬の鼻紋をAI技術で読み取る鼻紋認証アプリ(スモア提供)

テスト版公開中 無料DLできる

 アプリはインターネット上でダウンロード(無料)できます。まだテスト版でバージョンアップを重ねていますが、もしもに備えて登録してみてはいかがでしょうか。

 飼い主は犬の名前、生年月日、体重、犬種、かかりつけの病院、アレルギーの有無、えさの品目や量などを登録したうえで、犬の鼻の動画を撮影します。

 迷子の犬を発見したアプリユーザーが鼻紋の動画を撮影して照会することによって飼い主がわかり、保護している間にえさの量や薬の処方など登録された情報が生かされる訳です。

我が家でも、ぷ太朗を相手に5秒の動画撮影に挑戦。愛犬のため、根気よくやってみよう

愛犬の静止が大変… 根気よく撮影を

 我が家でも9歳のトイプードル・ぷ太朗の動画撮影を試みました。「お座り」はできますが、そのままじっとさせるのが大変です。「こっち向いて」の声には応じるものの、すぐに横を向いたり下を向いたり。食べ物を手にして「おやつ」と言うと、凝視して動きを止めますので、そこが撮影チャンスです。根気が大事。ぜひ、試してください。

 澤嶋さんが鼻紋をうまく撮るコツを教えてくれました。「撮影の際、画面に四角い枠が出ます。この枠いっぱいに乾いた鼻を合わせ、真正面から撮ると鼻のしわがくっきり映ります」。5秒間の撮影ですが、3~4分もかければ終了です。

 飼い主を失った迷子犬は全国で年間約2万5000匹と言われています。2011年の東日本大震災の際には行方がわからなくなったペットが相次ぎ、わずか12・2%しか飼い主の元に戻らなかったそうです。

ノーズ・アイディアプリを開発した韓慶燕さん(左)と澤嶋さつきさん

福岡市も鼻紋認証技術の向上を後押し

 こうした中、福岡市は今年4月、ノーズ・アイディを実証実験フルサポート事業に採択しました。この事業はAIなどの先端技術を活用して社会課題の解決を目指すプロジェクトを後押しするもので、ペット関連では初の採択でした。

 「鼻紋認証技術の向上に向け、登録者数を増やす協力をしています」と同市企画調整部企画課長の平城直子さん(44)。具体的には、狂犬病予防接種会場や公民館、動物病院などにチラシを置き、市民に登録を呼びかけています。

 そのかいもあって福岡市を中心に九州で登録者が増え、5月末現在で1186匹分に上っています。

 迷子犬を発見できる機会を増やすためには、登録者数の増加が欠かせません。このシステムを広く普及させれば救済が進み、愛犬家が暮らしやすい社会が訪れるはずです。

  ◆

 愛犬家の記者が最新のペット事情を探る「わんにゃんリポート」は随時、掲載します。

(2022/8/11Web限定公開)

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