【ボートレース】逃げなの?抜きなの? 決まり手の厳密な区分を

 ボートレースの決まり手は非常に簡素化されている。逃げ、差し、まくり、まくり差し、抜き、恵まれの6種類しかない。以前は東京3場でツケマイを使用していたこともあったが、いつしかまくりに統一された。

 ただ、以前からレースを見ていて、「おやっ?」と首をひねるような決まり手になることがまれにある。例えば9月27日の唐津周年3日目8R。2コースの常住蓮が公式発表の決まり手はまくりで1着だったが、実際のレースではカド4コースからコンマ01のSを決めた山田哲也がまくってレースを作り、常住は山田にまくられた後、インの寺田祥をまくりつつ、山田の引き波を差して越えている。非常に珍しいケースではあるが、インの寺田をまくったにせよ、山田の引き波は差しているので、決まり手はまくり差しでよかったのかなと思う。

 また、あるレース場で若手がインから初優勝したレース。インから先行したが2Mで後続艇に差されてしまい、2周ホームは同体。勝負が決まったのは2周1Mの全速ターンだった。当然、決まり手は抜きになるのかと思いきや、公式発表は逃げ。「いやいや、逃げてないでしょ!」と突っ込みつつ、その場の審判に見解を聞くと、「うちはインが勝ったら決まり手は全部逃げです」と言われたので驚かされた。これはあまりにも安直で割り切り過ぎではないだろうか?

 ネットもJLCも何もない時代であれば、各場独自の判断で構わなかったかもしれないが、スマホやパソコンがあれば、今や全国24場のレースがどこにいても手軽に楽しめる時代。決まり手なんて気にしないファンがほとんどなのかもしれないが、せめて逃げと抜きの区別くらいは厳密にして欲しいと思う。

 欲を言えば、まくりとツケマイもかつての東京3場のように区別した方がファンには親切。同体のSから伸びてまくったのか、同体のまま全速ターンでまくったのかによって、その選手に対する機力とターン力の評価が大きく違ってくるので…。 (井上 誠之)

(2023/9/27紙面掲載)

関連記事

過去記事(月別)

ページ上部へ戻る