【ボートレース】女子レーサー隆盛の礎築いた鈴木弓子さん 遠藤エミSG制覇の朗報に「すごい時代」

ボートレース誕生から70年 現役女子4人という時代も

 ついに歴史が動いた。今月21日の大村クラシックで、「歴史に名を刻みたい」と以前から語っていた遠藤エミ(34歳滋賀支部)が女子レーサーとしては初めてSG制覇の快挙を成し遂げた。それも予選トップからの王道優勝という文句なしの内容で。ボートレース初開催の1952年4月からちょうど70年。その初開催の地、大村で…というのもドラマチックではあった。

 ボート界ではこれまで実に536人(5月デビューの130期を含む)もの女子レーサーが誕生。最古参は登録番号が二桁、78の則次千恵子。草創期には70人近い女子レーサーが活躍、オール女子レースも開催されていた。また、田川照子、杉本明子、戸板君子の3人がG1を優勝した記録も残っており、当時も男子と互角以上に戦っていた女子レーサーは存在していた。

救世主は「ボート界の百恵ちゃん」

 しかし、その数は徐々に減少。一時は現役がわずかに4人という時期もあった。そこに救世主がごとく現れたのが鈴木弓子さん(旧姓田中)=写真=。80年5月に46期としてデビューすると、「ボート界の百恵ちゃん」と呼ばれて人気を博し、4期目にはA級に昇格するなど実力も兼ね備えていたことから、業界は女子の大量養成を決断。鵜飼菜穂子さんらの48期から女子レーサーは増え続け、それが今日の女子レース全盛時代につながった。

 鈴木さんは幸夫(愛知支部)と結婚、記念すべき第1回女子王座の優勝を最後に現役を引退したが、もし、鈴木さんのデビューがなければ、女子レーサーの火は消えていたかもしれない。

引退から33年後の朗報

 そんな鈴木さんもSGにはオールスターに出場したことがあり、夫婦対決も話題を呼んだ。引退して33年後の朗報に、「女子レーサーがSGを優勝したと聞いて、本当にびっくりしています。すごい時代になりましたね」とさすがに驚きを隠せない様子だった。(井上 誠之)

(2022/3/30紙面掲載)

関連記事

過去記事(月別)

ページ上部へ戻る