【フルコンタクト空手】多田成慶初V 自分の組手貫きJFKOの無念晴らす/福岡県空手道選手権大会

第14回オープントーナメント福岡県空手道選手権大会 2021年8月22日/福岡国際センター

男子一般上級 新極真会福岡支部3選手が入賞

 青少年育成チャリティー第14回オープントーナメント「福岡県空手道選手権大会」が福岡市の福岡国際センターで開かれた。直接打撃制によるトーナメント方式で争われ、幼年から一般の部まで59部門で、激しいバトルを繰り広げた。メインの一般上級の部決勝は新極真会福岡支部同士の対決となり、多田成慶が藤田春人を下して初優勝を飾った。女子フルコンタクトの部は児玉亜瑞(新極真会大阪神戸湾岸)が制した。

持ち味を発揮した多田がパワフルな組手で初優勝を飾った

終盤ラッシュで本戦決着

 一気にギアを上げた。多田が突き、下段回し蹴りと、最後のラッシュを仕掛けていく。「ここで決めよう」。延長のことは考えず、本戦での決着を狙った。旗判定3-0。初Vが決まると、ほっとした表情を浮かべた。

 本戦決着を狙ったのには訳がある。5月の全日本フルコンタクト空手道選手権(JFKO)にエントリーしていたが、大会直前に急性肝炎にかかり出場を断念した。それだけに、復帰戦となった今大会はスタミナに不安を残していた。

 それでも、初戦こそ動きが硬かったが、2戦目以降は多田らしいパワフルな組手で危なげなく勝ち上がった。決勝の相手は、自身より体重が軽くスピードのある藤田。苦手なタイプだったが、自分の組手を貫き通し、前に出続けた。

一般上級の部で入賞した4人。(左から)優勝の多田、準優勝の藤田、3位の岡田、前平

「優勝以外は敗北」V候補の重圧はね返す

 21歳。福岡支部で今最も勢いに乗っている若手と言っていいかもしれない。2019年マレーシアのアジア大会軽重量級を制し、無差別級王者を決める昨年の全日本選手権で6位入賞を果たすなど、メキメキと力を付けてきた。今大会は選手宣誓も任され、堂々のV候補として臨んだ。「重圧とかは考えなかった。ただ優勝以外は敗北と思っていた」と、頂点だけを見据えていた。

 次は、12月に大阪で開かれる全日本選手権に照準を定めた。「福岡支部の多田ここにあり」と自身の名を全国に知らしめた相性のいい大会だ。まずはスタミナの強化に取り組んでいく。今年は「優勝を狙いたい」と意気込んでおり、著しい成長曲線を描く今なら、大仕事をやってのけるかもしれない。


準優勝の藤田は華麗な組手で会場を沸かせた

藤田春人 “一撃必殺”鮮やか上段回し蹴り

 フルコンタクト空手の魅力が凝縮された一撃だった。準決勝。残り10秒を切って、藤田が左足を振り抜く。強烈な上段回し蹴りが、アゴをとらえた。会場がどよめくと同時に、1メートル80、95キロの岡田侑己が倒れ込み、ピクリとも動かない。鮮やかな一本勝ちだった。

 重量級の岡田に対し、藤田は1メートル67、72キロ。序盤は足を使い、ペースを握った。残り30秒を切って、岡田が勝負をかけ、一気のラッシュで前に出てきた。そんな中、冷静に相手の動きを見極め、左足を振り抜いてみせた。

 これぞ新極真空手という大技だが、日頃の稽古でも練習を繰り返していたから、ここ一番で体が反応したのだろう。準々決勝の大坪裕希戦でも、終盤に上段回し蹴りで技ありを奪い、劣勢をはね返し勝利した。

 決勝で多田に敗れたものの、準優勝という結果には胸を張っていい。快進撃を支えた鮮やかな上段回し蹴り2連発に「自信になります。もっと狙って出せるようにしたいですね」と、うなずいた。

 今後は、10月の全九州大会の後、12月の全日本選手権に初出場する。18歳のホープがこの日のような華麗な組手で、全国のファンを沸かせてみせる。


体調は万全ではなかった前平(右)。気迫の組手で存在感を示した

前平斗真 手負いも健闘ベスト4

 手負いの前平斗真がベスト4に進出した。JFKOで右足の甲を剥離骨折。今大会は万全ではない状態での出場だった。それでも準々決勝では、ほとんど足技が使えない中、自分より一回り大きい重量級の選手に対し、突きだけで勝利を収めた。準決勝で多田に敗れ「棄権だけはしたくなかった。多田選手は強かったですね」と振り返った。

 次は12月の全日本選手権を目指す。本来は膝蹴りや下段などの足技を得意としている選手。今大会で突きにも手応えを感じており、体調が万全に戻れば次戦に期待がもてそうだ。

(2021/8/28紙面掲載)

※新聞紙面(8月28日)では全部門の入賞者名を掲載 <バックナンバ-お買い求め方法

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