【フルコンタクト空手】多田成慶 準V 大坪裕希&網川来夢3位 福岡支部3選手表彰台へ/第7回全世界ウエイト制空手道選手権大会

第7回全世界ウエイト制空手道選手権大会(2022年9月24日-25日・ポーランド)

 フルコンタクト空手の階級別世界王者を決める「第7回全世界ウエイト制空手道選手権大会」が9月にポーランドで開催され、新極真会福岡支部から出場した多田成慶(22)が男子軽重量級で準優勝した。同支部の大坪裕希(23)が男子軽量級で、網川来夢(19)は女子軽重量級で3位入賞を果たした。日頃の鍛錬の成果を世界最高峰の舞台で存分に発揮した3人に、激闘を振り返ってもらった。

男子軽重量級で準優勝した多田(左)
外国人相手にパワーあふれる組手を披露した多田

男子軽重量級/多田成慶 準V 世界王者の称号へ一歩届かず・・・「来年リベンジ」

 世界王者の称号に、多田はあと1勝と迫っていた。1回戦から準決勝までは全て本戦決着で勝利。決勝の相手は、リトアニアの強豪ジュラス・ソコロヴァスだった。

 「調整はうまくいっていたし、順調に勝ち上がってこれた。優勝しか考えてませんでした」

 相手は1メートル90の長身。同階級とはいえ、20センチの身長差があった。距離を取ろうとすれば、前蹴りで攻撃された。日本人同士ならば、パワーで負けることはないが、やはり世界大会となると勝手が違った。それでも本戦は0―0と互角の戦い。セコンドの声もよく聞こえ、動きも悪くなかった。

 延長に入り、徐々にスタミナが消耗してくる。最後に、相手が猛然とラッシュを仕掛けてきた。

 「ここで来るか、という感じ。スタミナが無尽蔵でパワーもあった」

 本戦で出し切ってしまった多田とは逆に、相手の方が力は残っていた。延長を終え、旗判定に。多田は敗れた。

 「悔しいです」

 この一言に、全ての思いは凝縮されていた。初めて「日の丸」を背負い、世界の舞台に挑んでいた。周囲には「世界チャンピオンになって帰ってくる」。そう伝えていた。今も時折、映像で大会を振り返るが、決勝だけはあまり見たくないという。眠りにつく時、風呂に入っている時、ふと敗戦の悔しさがよみがえることがある。

 「来年には無差別の世界大会がある。そこでリベンジできるように。そのためにも12月の全日本で結果を出せるように頑張りたい」

 照準は12月に東京で開かれる「全日本空手道選手権」だ。無差別級の日本一を決める大会で、昨年は快進撃をみせて準優勝し、その名を全国にとどろかせた。

 「昨年のことは忘れて、ゼロから新たな気持ちで挑みます」

 新たな一歩をすでに踏み出している。

男子軽量級で3位入賞の大坪(右から2人目)
大坪は持てる力を出し切って3位入賞を果たした

男子軽量級/大坪裕希 3位入賞 「絶対に勝つという気持ちが大事」

 群雄割拠の男子軽量級。4強は日本人選手が独占した。その中の一人に、大坪が名を連ねた。

 「日本代表として戦うのは初めて。チャレンジする気持ちもありましたし、優勝するという気持ちもあった」

 ちょうどこの大会の1年前。大坪は仕事を辞め、空手指導員になった。子供らに教えながら、空手家としてより高みを目指し稽古を重ねてきた。今大会は、その集大成でもあった。緑健児新極真会代表からは「人生をかける瞬間がここだよ」と、心に響く言葉をかけられていた。

 着実に勝ち上がり、準決勝で河瀬惇志と対戦。両者ともに譲らない展開となり、最後の30秒では互いにラッシュ。わずかな差で相手が上回った。

 「勝ちにこだわる部分が河瀬選手の方が強かった。絶対に勝つという気持ちが大事だと学んだ」

 この大会で得たものは大きい。世界の舞台でしか味わえないブーイングや歓声など、その雰囲気を体感した。大会前には、指導する子供たちから色紙や花束をもらい、期待の大きさを実感した。

 「自分が空手を教えてもらっている立場だったら、強い先生に教えてもらいたいと思うはず」

 今回軽量級を制した飯野駿や、多田は同級生。そんなライバルの活躍を発奮材料に、次は12月の全日本空手道選手権に出場する。

女子軽重量級で3位入賞の網川(右から2人目)
得意の膝蹴りで快進撃を見せた網川

女子軽重量級/網川来夢 3位入賞 悔しさバネにもう一度世界へ

 網川にとって悔しさと手応えが交錯する3位入賞となった。初戦を快勝すると、準々決勝では地元ポーランドの強豪マルタ・ルボスを破った。

 「コンディションも良かったし、動けていた。緑師範からも膝蹴りがよく出ていていいぞと言ってもらえました」

 続く準決勝の石原凜々戦は互いに譲らない攻防となった。網川は得意技の膝蹴り、石原は突きを繰り出す。旗判定となり、わずかに石原が上回った。

 「悔しい思いが強いですね」

 あと2勝で世界の頂点に立てていた。悔しいのは当然だ。それでも日の丸を背負う誇りを胸に、今大会に向け黙々と稽古に取り組んだことが、入賞という結果につながった。

 潜在能力はありながら、階級別の日本王者を決める5月のJFKOは初戦で敗れた。今ひとつ結果を出せない状態が続いていただけに、この世界大会を再浮上のきっかけにしたいところだった。

 「今後は膝蹴りにつなげる技とかをもっと磨いていきたい」

 もう一度、世界の強豪と戦うために、持ち味の膝蹴りを生かす組手を強化していく覚悟だ。 

(写真はいずれも新極真会提供)

(2022/10/31紙面掲載)

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