【フルコンタクト空手】多田成慶 連覇、大坪裕希準V 亀山真、江口雄智、前平斗真&女子・藤原桃萌が4強入り 新極真会福岡支部6人入賞/第8回JFKO全日本大会

第8回全日本フルコンタクト空手道選手権(2023年5月20、21日・エディオンアリーナ大阪)

 「第8回全日本フルコンタクト空手道選手権(JFKO)」が、大阪市のエディオンアリーナ大阪で開かれた。フルコンタクト空手の階級別日本王者を決める大会に359流派から男子270人、女子110人が参戦。男女別の5階級で熱戦を繰り広げた。福岡支部からは男子15人、女子3人が出場し、男子軽重量級で多田成慶(23)が連覇を達成した。同軽中量級では大坪裕希(23)が準優勝。男女合わせて6人が入賞を果たした。

【男子・軽重量級】

強烈な下段を放つ多田(右)

多田成慶「19秒KO」の悪夢 乗り越えた

 試合を重ねるごとに、不安は確信へと変わっていった。多田が最終的に連覇への手応えを感じ取ったのは、加藤大喜との決勝戦の試合中。「これなら行ける。本戦で決めよう」。強烈な右下段回し蹴りを放つと、一撃ごとに福岡支部の応援席から歓声がわき起こった。残り30秒。さらにギアを上げる。下段を連打し、突きでたたみかけた。3分の本戦を終え、旗判定に。5―0の圧勝だった。

 決勝で対戦した加藤は、第2回大会軽重量級の覇者で、無差別級の全日本大会で準V経験もある実力者だ。これまでの対戦成績は1勝1敗。一進一退の攻防となったが、次第に、多田の前に出る圧力が上回る。右の下段を中心に攻めるというプラン通りの試合運び。最後まで攻撃の手を緩めることなく優勝を決めた。終わってみれば、5試合とも本戦決着で頂点まで駆け上がり、「ほっとしました」と笑顔を見せた。

連覇を達成した多田は優勝インタビューで、ほっとした表情を浮かべた

 連覇がかかった今大会。実は、大きな不安を抱えていた。昨年12月の全日本大会で、V候補に挙げられながら初戦敗退した。左上段膝蹴りを頭部に受け開始19秒で一本負け。今回は、その時以来の実戦だった。

 この5か月間、「19秒KO」の悪夢を拭い去るため、ひたすら稽古に打ち込んできた。それでも、不安が完全に消えることはなかった。大会前のある夜、自分がKOされて担架で運ばれる夢を見た。「連覇なんかできるわけがない」。どうしてもマイナス思考に陥ってしまう。そんな時に支えてくれたのは福岡支部の仲間だった。「あの悔しさを忘れたのか」。練習中、同級生の大坪はそう言って何度も励ましてくれた。勝つことでしか、自分自身でしか、あの悪夢を拭い去ることはできない。そう思い直し、稽古に取り組んだ。

 忘れたい屈辱をあえて胸に刻み、つかんだ頂点。この優勝で10月に東京で開かれる「全世界空手道選手権大会」の日本代表にも選出された。優勝インタビューでは「世界大会で優勝します」と力強く宣言。悪夢を乗り越えて、多田は、また強くなった。(加藤 博之)

ようやく本来の姿を取り戻しつつある江口(右)。世界大会での完全復活を期待したい

江口雄智 復調の兆し 4強で日本代表

 江口雄智が4強入り。世界大会の日本代表にも選出された。このところ不調に陥っていた一昨年の覇者。2回戦では2度技ありを奪い、合わせ一本勝ち。徐々に本来の組手を取り戻しているようだ。「まだ前ほどではないですけど、試合の中での動きや距離感など戻ってきた感じはあります」。世界大会に向けては「4年に1回の大会。けがなく、プラン通りに練習を積んで自信を持って臨めるようにしたい」と力を込めた。


【男子・軽中量級】

華麗な組手で会場を沸かせた大坪

大坪裕希 気迫連打で準V

 大坪が気迫あふれる組手で勝ち上がった。多田耀成との準々決勝では本戦1―1で決着がつかず、延長の末、3―2とわずかな差で勝利を収めた。「緑師範から下段の連打を使うようアドバイスを受けていた。あれがなければ負けていたかも」と振り返った。

 続く福永匠真との準決勝。同じ福岡支部の緑武士が4回戦で敗れた相手だけに、負ける訳にはいかなかった。「昨年は準決勝で負けて悔しい思いをしたので、絶対決勝に行ってやると思っていた」。準々決勝と同じように下段回し蹴りの連打から、突きもタイミングよく交え相手を圧倒。きっちりと本戦5―0で勝ち上がった。

 決勝で平木楓に敗れたものの、昨年の3位から順位を一つ上げた。世界大会の日本代表にも決まり、着実にステップアップしていることを印象づけた。

前平斗真 準決勝で涙 来年の雪辱誓う

 前平斗真が準決勝で涙をのんだ。大坪が決勝進出を決めた直後の試合。勝ち上がれば「福岡対決」となるところだったがかなわなかった。「昨年の決勝と同じような負け方をしてしまって…」。接近戦から注意を取られての判定負けに、悔しさをにじませた。それでも、3回戦で上段膝蹴りで技ありを奪うなど、大会に向け練習してきた成果を出せた試合も多かった。準決勝までは危なげなく勝ち上がるなど、「やってきたことは間違ってなかった。来年、リベンジします」と雪辱を誓った。


【男子・重量級】

亀山(右)が3位に入り、世界大会の切符をつかんだ

亀山真 意地の3位 世界大会切符!

 亀山真が3位になり、存在感を示した。準決勝は左鎖骨を痛め、苦しい展開に。試合終盤に上段膝蹴りなどで逆転を狙ったが、惜しくも敗れた。それでも準々決勝までは順調に勝ち上がり、4強入り。福岡支部の重量級エースとして意地を見せた。10月の世界大会の日本代表に選ばれ「(準決勝は)上段は当たったんですけど。次はしっかりと倒せるように。世界大会では上位目指して頑張ります」と話した。


【女子・重量級】

大けがからの復帰を果たした藤原(左)

藤原桃萌 1年ぶり実戦で4強入り

 1年ぶりの実戦となった藤原桃萌が4強入りを果たした。さすがに初戦は硬さが見られたが、それでも1、2回戦は5―0の判定勝ちと実力者復活を印象づけた。準決勝で敗れ「相手に研究されていた」と悔しがった。昨年7月に、左膝前十字靱帯に太ももの腱を移植する手術を受けてからの復帰戦。不安もあったはずだが、患部を気にすることなく戦えたことは、大きな前進だろう。「まずはゆっくり休んで。もっと実力をつけたい」と話した。


カラテトレジャーズに選ばれた福岡支部の村田(右)。緑健児代表から盾を贈られた(新極真会提供)

カラテトレジャーズ 村田にアワード盾授与

 「全日本青少年フルコンタクト空手道選手権大会」で入賞した中学生以下の選手約90人が、フルコンタクト空手の未来を担う「カラテトレジャーズ」として紹介された。昨年の第1回大会小学6年の部重量級に続き、3月の第2回大会中学1年の部重量級を制した村田哲成(福岡支部)が、連覇した選手に授与されるシルバーのアワード盾を受け取った。

10月世界大会に福岡支部から4人選出

 10月14、15日に東京で開かれる「第13回全世界空手道選手権大会」(新極真会主催)の日本代表選手、男子20人、女子9人が決定した。福岡支部からは、男子の多田成慶、亀山真、江口雄智、大坪裕希が選ばれた。女子の選出者はなかった。


6人が入賞した福岡支部。互いに刺激し合ってレベルアップを図った成果だ。(左から)緑健児新極真会代表兼福岡支部長、亀山、大坪、多田、藤原、江口、前平

低酸素トレ「AirZ」効果実感

 6人が入賞した福岡支部の活躍を支えた理由の一つが、「低酸素トレーニング」だ。トレーニングルームの酸素濃度を、2500メートルを超える高地と同程度のに設定することで、平地での練習に比べ心肺機能などをより高めることができると言われる。福岡支部の選手らは道場での稽古に加え、福岡市中央区にある「AirZ(エアーズ)福岡薬院店」に通っており、軽重量級を連覇した多田は「決勝戦でも一番苦しくなるところで、スタミナ面の不安は全くなかったので、最後のラッシュにつなげ勝つことができました」と振り返った。

https://www.seibuhochi.com/topics/fukuokaken/20230524a.html

(2023/5/30紙面掲載)

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