【福岡】低酸素トレーニングで運動を効率化 Airz福岡薬院店で効果に迫る

 陸上競技や野球、サッカー、競泳、武道など様々なスポーツで「低酸素トレーニング」を取り入れるアスリートが増えている。標高2500メートルを超える高地と同程度の酸素濃度に設定した部屋でトレーニングすることで、平地よりもさらに高い運動効果が得られるという。最近はダイエット目的などで低酸素トレーニングに挑戦する人も増えている。福岡市中央区に今月10日オープンした「AirZ(エアーズ)福岡薬院店」を訪ね、その効果に迫った。

低酸素ルームで走り込む大学生のサッカー選手ら

標高2500メートル相当の低酸素ルーム

 福岡の都心にある「AirZ福岡薬院店」では、オープン初日から幅広い年齢層の男女が心地良さそうに汗を流していた。低酸素ルームの酸素濃度を平地よりも5%ほど低い約15%に設定。これは標高2500メートルに相当し、富士山でいえば5、6合目辺りだ。

「息を深く吸える間隔 睡眠の質変わった」

 この日は、地元福岡大のサッカー部員が低酸素トレーニングを行っていた。初めて体験した選手は「30分間走っただけなのにすごく汗をかいた」と満足げ。平地のトレーニングに比べ、その発汗量の多さに驚いていた。また、以前から低酸素トレーニングを取り入れているという別の選手は「代謝が良くなりました。息を深く吸える感覚もあり、睡眠の質が変わりました。体力テストの成績も伸びています」と、その効果を実感していた。

ウェートトレーニングに励むフルコンタクト空手の選手ら

心肺機能が強化

 サッカー選手の他、プロのマラソンランナーなども通っており、高い心肺機能が求められるスポーツにとっては良質のトレーニング方法なのだろう。またこの日訪れていた空手の日本代表選手によると、同じウェートトレーニングをするにしても可能な限り低酸素の環境下で行っているという。筋力を鍛えると同時に心肺機能も高められ、効率的なのだそうだ。

 アスリートだけでなく、仕事帰りのサラリーマンや、主婦といった利用者も多い。短時間で高い運動効果を得られるのが人気の秘密だ。「低酸素トレなら、30分歩くだけで2時間歩いたのと同じ効果があると言われています」とスタッフは説明する。足への負担が少ない電動式のランニングマシンも備えており、「低酸素トレーニング未経験の方の入会も増えていますよ」と話す。

アスリートだけでなく健康増進目的のユーザーも

 また、低酸素状態で運動を継続すると、食後の血糖値が抑えられるという研究報告もあり、一般の人の健康増進にも有効だと考えられている。アンチエイジング、冷え性、貧血、睡眠の改善などを目的に通っている会員もいるという。

 都心で手軽にできる低酸素トレーニング。ぜひ一度、体感してみてはいかがだろうか。

今月オープンした「AirZ福岡薬院店」

全国拡大へ福岡に第1号店

 「AirZ福岡薬院店」は、エアーズ(東京都渋谷区)が展開する低酸素トレーニングジムの第1号店。

 宮川悟社長によると、低酸素環境下でのトレーニングジムは「福岡はもちろんのこと全国でもまだその数は少なく、設備のランニングマシンも自走式のものが多い」という。「AirZ」では自走式に加えて電動式のマシンを導入することで、アスリートに限らず、幅広い年齢層の会員を募集している。

 またAIを用いた顔認証による入館システムを導入し、「会員の方が全国のどの店舗でも気軽に利用できる環境を整備していきたい」と話した。福岡薬院店を手始めに、全国への拡大を目指している。

 ◆AirZ福岡薬院店 福岡市中央区薬院3の13の23薬院AMビル1階 営業は平日午前8時~午後10時(最終受け付け午後9時20分)、土日曜祝日午前8時~午後7時(最終受け付け午後6時)。

 入会金1万1000円、事務手数料5500円。月会費は月4回のウィークワン会員9000円、月8回のスタンダード会員1万2000円、月30回のプレミアム会員1万6000円。いずれも税込み。※5月末までにWEB入会すると、月会費1000円割引のうえ入会金・事務手数料無料。問い合わせは同店(092・406・4409)へ。


「AirZ福岡薬院店」で1日店長に就任した坪井さん

元サッカー日本代表・坪井慶介さん「試合後の回復力の向上にも役立つかも」

 「AirZ福岡薬院店」がオープンした10日、サッカー元日本代表DFの坪井慶介さん(43)が1日店長を務め、低酸素トレーニングを体験した。自走式のランニングマシンで低酸素環境下でのトレーニングに初挑戦。数分間走ると「これが低酸素かあ。思っていた以上にしんどい」と、平地トレとの違いを実感していた。

 世界を舞台に戦ったトップアスリート。ただ、現役当時は低酸素トレーニングに取り組める環境がなかったという。「高地といえば、実際の山を登っては降りるようなトレーニングをしていたくらい」と話す。

 40歳まで現役を続けた坪井さん。30代後半の頃は「若い頃に比べて、スピードやパワーよりも試合後の体力の回復が遅かった」と振り返る。今回、低酸素トレーニングを体験してみて、「試合後の回復力の向上にもきっと役立つ。現役時代にこのような環境が身近にあれば、練習に取り入れていた」と話した。

 ◆坪井 慶介(つぼい・けいすけ) 1979年9月16日、東京・多摩市生まれ。四日市中央工業高校、福岡大学を経て2002年にJ1浦和レッズ入り。スピードを生かした守備で06年ドイツW杯に出場。15年に湘南ベルマーレへ移籍し、18年にレノファ山口FCへ加入。19年の引退後はサッカー解説者、タレントとしても活躍している。

(2023/5/24紙面掲載)

関連記事

過去記事(月別)

ページ上部へ戻る