【ボートレース】加倉侑征 今年の目標「A級になる、休まず走る、初優勝する」/2023イチ推し選手

記者が選んだ2023イチ推し選手⑥
大けがから復帰し、目標に向かってまい進する加倉

大けがで心境に変化

 一昨年6月、鳴門での事故で、骨盤と左のすねを骨折する大けがを負った。3か月前に初優出したばかり。勝率は5点台となり、A級昇格が見えていた頃だった。

 復帰は昨年4月末。9か月たった今でも骨折した足にボルトが入っているものの、レースには支障がないという。

 2023年の目標を尋ねると「A級になる、休まず走る、初優勝する。この3つです」と明快。だが、「全然ですね。焦ってはないんですけど、周りから見るとそう見えているかもしれません」と言葉をつないだ。

 成績を見ると2期続けてFがあり、勝率も4点台に落ちた。確かに空回りしている印象を受ける。ただ、爽やかに語るその姿から、焦りは少しも感じない。堂々とした、強さのようなものさえ感じさせる。それは事故の前後で心境に変化があったからかもしれない。

 「3か月入院して思いました。後悔がいっぱいあるって。生かされている身なので、思ったことはすぐに行動しようと。プライベートでは、サーフィンや富士山登山などやりたかったことをすぐにやりました。レースではギリギリまで試運転をする。落ち着いて行けるように本を読んで勉強して。結果は出てないけど、その準備はできていると思います」

 大きな事故に遭って身の危険を感じ、生について考えさせられる。よりよく生きるとは。そんな問いさえ浮かぶ経験は、大きな人間的成長をもたらすだろう。選手としての伸びシロはたっぷり。これからまだまだ強くなる。「大けがを克服して」。その言葉を実現していく姿をしっかり見届けたい。(中村 雅俊)

◆加倉侑征(かくら・ゆうせい)1997年7月15日生まれ。25歳。福岡県出身。福岡支部。2017年11月、121期生として福岡でデビュー。18年7月の児島で、6コースまくり差しを決めて初1着。通算63勝。デビュー3年6か月目の21年3月、平和島で初優出。師匠は待鳥雄紀。生涯獲得賞金は4306万3600円。かに座。159センチ、52キロ。血液型A。

(2023/1/8紙面掲載)

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