【ボートレース】石倉洋行 スタート巧者の秘密はボート前方にあり

S力に定評がある石倉

風向きや起こし位置などを書き記す

 ボートレースのS巧者といえば菊地孝平、原田幸哉、山田哲也ら。福岡ならレジェンド的存在の田頭実の名前が挙がる。石倉洋行(43)もそうした面々に迫る、S力に定評のある選手だ。先日、その武器を支える一端を思いがけないところに発見した。石倉が乗るボートの前方部分にはたくさんのメモ書きが残る。「僕にしか分からないと思いますよ」というそのメモには様々な数字が暗号のように並んでいた。風向きや起こしの位置、タイミングなど、Sに関する状況を詳しく書き記したものだった。

石倉が使用したボートに記されたメモ書き

大きな舞台で快走に期待

 Sといえば持ち合わせた才能であったり、度胸の良さや集中力といった精神面の比重が大きい印象があるものの、その裏には緻密(ちみつ)な計算があり、情報処理能力も必要。自らの武器を生かす、細かな努力がうかがえる。

 石倉と言えば、30歳デビューのオールドルーキーながら、コースを問わない決定力を持ち、前々期、前期と7点台の勝率をマーク。文句なしの実力者だ。ただ、A1通算7期に対し、G1出場は5節のみと、大きな舞台の経験は少なく、その実力をまだまだ発揮していないと思えるのが現状だ。今後チャンスが増えれば、上の舞台で活躍する力は十分持ち合わせる。近い将来、びっしり数値を書き付けたボートで大きな舞台を快走する姿を心待ちにしている。 (中村 雅俊)

(2023/5/31紙面掲載)

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