【ボートレース】増える周回誤認 3か月で5件も発生

接戦&荒れ水面で起こりやすい状況

 ボート界は今年3月以降、ちょっとした異常事態に陥っている。3周レースなのに、2周した時点でゴールと勘違いして減速してしまう周回誤認、もしくは本人は認めていないが、周回誤認疑いのレースが多発しているのだ。

 3月2日の戸田で松下一也。3月12日の若松で吉田凌太朗。4月23日尼崎で川崎智稔。そして5月に入り18日の江戸川で郷原章平。翌19日のびわこでは、SG覇者でもある重野哲之とわずか3か月の間に5人。

 この5人に共通しているのは、いずれも2、3着争いの接戦をしていたこと。さらに付け加えるなら松下、吉田、郷原のレースは安定板装着の荒れ水面。重野も安定板こそ装着されていなかったが、そこそこの荒れ水面だった。

 実はどこよりも周回誤認が多く発生しているのは江戸川。その原因のひとつに、「荒れ水面だと必至にハンドルにしがみついている感じで、自分が何周走ったのか分からなくなることがある」と選手から話を聞いたことがある。この5人のうち、川崎以外の4人はそういう状況だったのは間違いなく、周回誤認が起こりやすい状況だったのかもしれない。

舟券返還のルール変更も検討を

 とはいえ、そんな言い訳が許されるはずもない。選手はレース中、大時計の横にある最終周回信号灯やゴール信号灯(チェッカー)をしっかり確認しなければならない義務がある。接戦をしていたからといって信号を見落とした…はプロとして話にならない。

 周回誤認を犯した選手には通常4か月の出場停止処分が下される。これはもう当然のことだが、本来なら的中していたかもしれない舟券を持っていたファンには、何の還元もない。実はこれが一番の問題点。周回誤認もしくは周回誤認疑いの選手の舟券も返還するよう、ルール変更を検討すべきではないだろうか。こんな短期間に5件も発生している事象。このまま放置していい問題ではない。 (井上 誠之)

(2023/5/24紙面掲載)

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