【駅伝】鹿屋体大 昨年2位の悔しさばねに25年ぶりV/島原学生駅伝(男子)

第41回九州学生駅伝対校選手権大会(7区間57・76キロ)/2023年12月2日・長崎県島原市
男子のトップでゴールする鹿屋体大の内田(読売新聞西部本社提供)

大園主将 感涙「1年間が報われた」

 真っ先に歓喜のゴールに飛び込んだのは、濃紺のユニホームだった。喜び合う選手たちの輪の中で、鹿屋体大の大園倫太郎主将は泣いていた。「心が折れそうな時もあったけど、1年間やってきたことが報われました」。昨年、2位に終わって流した悔し涙は、うれし涙に変わった。

5区栗原力走 6区小早川が首位奪還

 勝負所となったのは、一気に下った後、終盤に上り坂が待ち受ける難所の5区。2位の第一工大と39秒差のトップでたすきを受けた栗原直也は、冷静だった。第一工大の外国人留学生に一度は抜かれたものの、「自分のペースで行こう。昨年も走っていたし、後半勝負と思っていた」。一時は30秒近く離されたが、終盤に追い上げ、11秒差の2位でたすきをつないだ。

 この粘りの走りに応えたのが、6区の小早川聖修。昨年のタイムには及ばなかったが、2年連続区間賞の快走で、トップを奪い返した。

松村監督有終の美

 あと一歩、優勝に届かなかった昨年。1年後に向けて、掲げたスローガンは、来年の島原で圧勝する――。そのためには練習するしかなかった。大会後の12月から1月にかけて、1キロ3分半ペースの30キロ走を毎週行った。そこで持久力を養うと、今度は中距離の選手に引っ張ってもらい、スピードを磨いた。この大会だけに照準を定め、ひたすら走った。気が緩みそうになった時には、「悔しさを忘れたのか」と、互いに声をかけ合った。

 25年前の優勝時に主将だった松村勲監督は今大会限りで勇退する。「学生たちはこの1年間悔しさを晴らすためにやってきた。いいチームになったと思います。感謝しかないです」。勝つために、ハードな練習を課した指揮官と、その有終の美を飾るために最後までやり抜いた選手たち。長い雌伏の時を経て、伝統校が鮮やかな復活を遂げた。 (加藤 博之)

▼男子順位(上位5校)
①鹿屋体大 3・04・56
②鹿児島大 3・05・39
③第一工大 3・06・00
④日本文理大 3・06・22
⑤長崎国際大 3・07・14

(2023/12/3紙面掲載)

※新聞紙面では優勝校以外の記事、別カット写真、上位3チームの選手名入り結果、全区間賞受賞者名を掲載 <バックナンバ-お買い求め方法

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