【高校野球】創成館5年ぶり夏 背番号3のエース・永本が志願の先発で2戦連続完投/長崎大会決勝

◆第105回全国高校野球選手権記念長崎大会 ▽決勝 創成館3-2海星(24日・長崎県営)

 熊本の決勝では、東海大熊本星翔が5―0で九州学院を下し、5年ぶり3度目の甲子園出場を決めた。エース・玉木稜真(3年)が圧巻の完封劇を披露した。長崎の決勝は、創成館が永本翔規(3年)の完投で海星を3―2で破り、5年ぶり3度目の甲子園出場をつかんだ。

優勝した創成館ナインは、スタンドに向かって笑顔を見せる

9回一打サヨナラも全力投球で振り切る

 創成館は、背番号3の右腕・永本が144球で完投した準決勝に続き、130球で9イニングを投げ抜いてチームを甲子園に導いた。昨年夏の決勝で敗れた海星を相手にリベンジを果たすと、ナインとともに喜びを爆発させた。

 再三のピンチを気迫で抑えた。3―0の5回は1点を返されたが、その後は併殺打に仕留めた。7回、8回も走者を背負う気の抜けない展開が続いたが、無失点。9回は1点差に迫られ、なお1死二、三塁の窮地となったが、「悔いのないように、思い切り腕を振った」と、後続を三振と三飛に抑えた。

8回のピンチを切り抜けて喜ぶ創成館・永本(左)

8回2死満塁フルカウントで見逃し三振に

 決勝前夜、先発投手を決めかねていた稙田龍生監督に一本の電話があった。「先発したい」。声の主は永本だった。5月に肩を痛めた影響で今大会は、準々決勝まではリリーフに回っていたが、準決勝の大崎戦で完投してから投手としての本能が呼び起こされ、連投を直訴した。指揮官は肩の状態を気遣いながらも、その思いとゲームメイクを信じ、マウンドを託した。

 2日前の完投の疲れは残り、直球は最速138キロ止まり。それでもスライダー中心の組み立てで、11安打されながらも2失点でしのいだ。勝負所では直球も決まり、8回の2死満塁のピンチでは、フルカウントから内角に投げ込み見逃し三振を奪った。捕手の山下真ノ介(3年)は「真っすぐの精度が高いので内角で抑えられると思った」と振り返った。

 稙田監督は「永本の気迫が全て。いつ逆転されてもおかしくない展開だったが、他の投手は考えていなかった」と右腕に最大級の賛辞を送った。 (弓削 大輔)

(2023/7/25紙面掲載)

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